システムエンジニア1年目で学ばなければならないことはたくさんあります。
プログラミングが未経験者ゆえにつまずくということもありますし、IT業界の理想と現実のギャップに打ちひしがれることもあると思います。
大学時代は成績が良く、自信満々で入社したものの、思うように仕事ができず挫折を感じるという方も多いでしょう。
一度つまずいてしまうと、
・ミスをしてばかりになり、毎日叱られる。
・教えてもらったことが覚えられずイライラする。
・上司や先輩とうまくコミュニケーションが取れない
というようなことが連鎖的、複合的に起こり、自分の何がダメなのかを冷静に考えられない状態に陥る場合もあります。
私自身も大手Sierに意気揚々と入社をしたのですが、実際配属後は失敗の連続で苦労した経験が多かったです。
仕事中会社のトイレで隠れて泣いたこともありますし、なすことやること全て裏目になり、袋小路に入ってしまった経験があります。
今回は入社1~3年目の若手SE向けに、1年目の挫折した際にどのように乗り越えるか?どう対処していけば良いか?を記事にしていこうと思います。
若手エンジニアの他にも、彼等を育成する立場の管理職の方にも有用な内容だと思いますので、ぜひ最後まで読んで頂ければと思います。
まずは冷静に原因を分析してみる
正しい原因がわからないと正しい解決策は導けない
今直面している問題に対して、解決策が何かを考える前にあなた自身が抱える根本的な原因が何かを分析してみましょう。
当然ながらあなた自身が抱える問題によって解決策も違ってきます。
「悩んでいろいろやってみるんだけど、全部裏目に出て結局怒られてしまう」という方は、この原因分析がきちんとできていないのではないかと思います。
ネットの記事では、「入社3年目まで我慢せよ」とか「スキルが身につかないのであればすぐ転職した方が良い」というように真逆のことが書かれたりします。
これらは片方が正解、片方が間違いという訳でなく、時と場合によってどちらとも正解になり得るのです。
きちんと自分が抱える原因を捉えられていないと、これらのネット記事にも惑わされることにもなるでしょう。
自分自身の嫌な部分に向き合うのはつらいことですが、一つ一つ丁寧に解きほぐして行くことは非常に大切なプロセスです。
なぜなぜ分析による原因の深堀
今回は、有名な原因分析の手法「なぜなぜ分析」を用いて、あなたの仕事の問題は何が原因か?分析していきたいと思います。
「なぜなぜ分析」というのは、具体的に起きた事象から、なぜ・なぜを繰り返して問題の根本原因を探り当てる手法です。
IT業界では、システム障害の原因分析でもよく用いられます。
頭の中で考えるだけでなく、ノートや付箋紙を使って、手を動かし、文字にしてみましょう。
手を動かすことによって、今まで気づかなかったことや、意識していなかった部分もクリアになって来ます。
<Step1:仕事上のストレスを書き出してみる>
まず、あなたがこの1週間で「失敗したこと」、「上司・先輩に怒られたこと」、「会社を辞めたいと思ったこと」など仕事上受けたストレスについて思いついたものから書き上げて行ってください。
書く際には、「いつ」、「誰に」、「どこで」という具体的な情報も一緒に添えて書き起こしましょう。
<Step2:問題の原因を深堀って見る>
次にStep1で書いた事柄について、なぜそのことが起きたのか理由を考えてみましょう。
一つの事柄について、その理由は複数あっても構いません。
例えば、「先輩に怒られたこと」に対しては、「言われた期限までにタスクを終わらせることができなかった」、「タスクが終わらなかったことを報告しなかった」という複数の理由が紐づいていても構いません。
<Step3:さらに問題の原因を深堀って見る>
Step2で書きだしたことに対して、さらに理由の深堀をしてみましょう。
「いわれた期限までにタスクを終わらせることができなかった」という理由に対しては、
「プログラム開発でどうしてもわからないことに直面した」、「わからなかった部分について先輩に質問することができなかった」というようにです。
結果は下の図のように、樹形図の形でまとめていってください。
なぜなぜを繰り返して、右の方に出てきたものがあなたが抱えている問題の根本です。
原因に対してカテゴリー分けをする
次に、「なぜなぜ分析」で出てきた根本原因に対して、カテゴリー分けをしてみましょう。
仕事の挫折の原因分析ということで、「知識・スキルの不足」、「コミュニケーション問題」、「やりたいこととのミスマッチ」という3つにカテゴリー分けをしたいと思います。
先ほど選び出した根本原因について、一つづつ分類をしていき、カテゴリーごとの数をカウントして見てください。
最も、多く分類分けされたカテゴリーがあなたが抱えている問題の本質になります。
知識・スキルの不足
システムエンジニアという職業上、この部分に悩みを抱える人はたくさんいるんじゃないかなと思います。
また、大手SierではIT知識以外にも顧客の業務知識も同時に覚える必要があり、高学歴の優秀な人でもつまずいてしまうことはよくあります。
<原因① 知識・スキル不足の具体例>
・プログラミングがわからない、開発スピードが遅い
・会議や先輩の話している内容が理解できず、ついて行けない
・ケアレスミスを多くしてしまう
・社会人の基礎的スキル不足
(電話応対がうまくできない、議事録がうまく書けない)
コミュニケーションの問題
IT業界では配属されたばかりの新人さんたちにとってもテレワーク中心の働き方になってきていますから、上司と満足にコミュニケーションをとる時間が持てないという悩みが増えてきています。
「プログラミング開発が思うようにできない」といったスキル的な問題のように見えても、実は「先輩とQAの時間が持てていない」「ちょっと分からないことを聞くということを躊躇している」というようにコミュニケーションの問題が根本にあるケースも多いです。
<原因② コミュニケーションの問題 具体例>
・報告/連絡/相談が遅れがち。
・作ったものが指示したものと違うと言われる
・悩みを相談できる上司/先輩がいない。
・理不尽に上司から怒られる/パワハラを受けている
やりたいこととのミスマッチ
入社した会社/配属された部署では自分がやりたいこととが達成できないという事の他、入社前の自己分析が足りておらず、IT業界自体に興味が無かったというのも含まれます。
<原因③ やりたいこととのミスマッチ 具体例>
・客先常駐で雑用ばかりを任せられる
・古い技術ばかりで最新の技術に触れることができない
・そもそもITに関して興味を持てなくなった
原因に応じた解決策
それでは最後に原因分析した結果に応じた解決策を考えていきましょう。
知識・スキルの不足が原因の場合
入社したばかりの人であれば誰でもぶち当たることなので、そこまで心配ではないと思います。
基本的には今が苦しくても、その苦しみはあなたが成長している証拠であり、今この時間は将来の成長のために必要な時間です。
プログラミングソースを読み、バグの原因を突き止めるのは最初は時間がかかるものですが、回り道をする過程で得た知識はきっとこの後あなたの役に立ちます。
先輩社員も「答えを教えるのでなく、自分で問題を解決するのを辛抱強く見守ることが育成だ」と考えている場合もありますから、過度に不安に思うこともないと思います。
悩みを職場外の人に話をして、不安を吐き出すことで、プラスの方向へマインドチェンジしていくというのが適切な解決策になります。
<具体的な対策例>
・知識・スキルの問題は時間が解決してくれると前向きな気持ちを持つ
・マインドチェンジのために職場以外の人に話を聞いてもらう
・資格取得など業務外の勉強を始める
・分からないことリストを作って定期的に先輩社員と勉強会を行う
コミュニケーションが原因の場合
コミュニケーションが原因の場合は、原因となっている上司・先輩との関係を解決するためのアクションをしなければなりません。
ポイントは自分の考え違いが大きくなる前に、早めに相談をすることで早期に認識違いの芽を摘むことです。
例えば、1週間なんの相談もなく仕事を進めた結果が、上司の予想していたものと全く違うものになってしまった場合、頼んだ上司側にもストレスが溜まってしまいます。
「小まめに相談会を設け、進め方を軌道修正していくことで認識違いを防ぐ」というのは双方にとってストレスの溜まらない良い方法だと思います。
上司・部下でコミュニケーションが取れていないというのは、何もあなただけの課題ではありません。
「何か取り組みをしていきませんか?」とあなた方から提案するのは非常に意義があることだと思いますし、上司側からしても前向きに捉えて貰えるのではと思います。
しかし、コミュニケーションの取り方において、一方的に上司側に非がある場合もあります。
貴方がパワハラ、モラハラを受けているという場合は、さらに上の上司に相談するなどして解決を図ってもらうことです。
もし、相談の結果改善されないようであれば、そのような会社に我慢して長く居座ることはなく、転職に向けての行動をとった方が良いです。
<具体的な対策例>
・よろず相談会の時間を1日30分とってもらう
・相手方に原因がある場合は、その上司に相談を持ち掛ける
・それでも解決しない場合は転職活動を考える
やりたいこととのミスマッチ
あなたがやりたいことと現在の業務内容がミスマッチしているのであれば、我慢して続けることは、あなたにとっても会社にとっても時間の無駄ですから転職活動を考えた方が良いです。
転職活動というのは、会社にばれなければあなたにとって全くデメリットはありません。
転職エージェントに登録して、自分自身が転職市場でどれくらいの価値があるのかを聞くだけでも、十分価値あることです。
最近はオンライン面談などでテレワーク最中に効率的に転職活動を進める環境が整ってきていますのでぜひ活用してみてください。
「大手企業で同じ会社内だけどやっていることはたくさんある」という場合は、まずは社内での部署異動を希望することが最初のステップになると思います。
IT業界以外の他業種に転職したいというばあには年齢が上がるほど不利になりますから、早めに動いた方が良いです。
<具体的な対策例>
・異業種転職の場合は我慢せず、できるだけ早く動く
・社内での部署異動を上司に相談する
・転職エージェントに登録して相談する
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